SAKANOUE diary

夫婦ふたり 坂の上の新しいおうちでの小さな日常のこと

ムーミン谷の彗星

f:id:mamikkko:20190726213538j:plain表題の本、ゆっくりゆっくり読んでいたのですが、
今日は婦人科の手術があり、
安静時間に一気に読み終えました。

トーベヤンソンムーミン谷の彗星』
原作は1946年に書かれ、何度か作者の加筆修正を経て今に至るそうです。

戦時中に書かれた大洪水のお話と同様に、
彗星の接近という避けようのない危機が迫る。
戦中~戦後まもない時期に執筆された時代背景がよくわかります。

ムーミンパパは小川に素敵な橋を掛けました。
ムーミンママは花壇を素敵な貝殻で縁取りました。
ムーミンは木に素敵なブランコを吊るしました。
スニフは素敵な洞窟をみつけ子猫にも出会いました。

そんな折、突如迫る赤い彗星
ムーミンとスニフは、不安で本来の子供らしさを失い、遊ぶことに身が入らなくなります。
ママは、何より子供の心を心配しました。

ムーミン谷に彗星が落ちるかもと不安を煽る
じゃこうねずみに、
パパもママもはっきり遺憾の意を示します。

そしてママは、ムーミンとスニフに、
天文台にいって彗星をみてくるという、
とっても大事でわくわくする任務をお願いしました。

天文台への道のりは危険な冒険の連続。
スナフキンに出会い、ヘムルに出会い、
スノークスノークのお嬢さんにも出会います。

刻々と迫る彗星をみるために天文台に向かいますが、
舞踏会で踊ったり、空が赤いのは夕陽だから、と、
みんな、敢えて彗星のことは考えません。

天文台からムーミン谷への帰途では、
美しい海や小川も干上がり、虫の大群が生きるために木の葉を食い荒らし、魚も虫も
生きていくことが難しくなっていました。

ムーミンは、自分の暮らしてきたムーミン谷が、
如何に緑や水豊かで素晴らしい場所か、
パパの作ったおうちや橋のある場所で、
ママの美味しいごはんやおやつが出てくる
おうちの暮らしが
どれだけ素敵なものだったか、思いを巡らせます。

ママとパパの元に戻って、家族一緒なら彗星のこともきっと解決する!と思うムーミン

大冒険を経て仲間みんなでおうちに戻ると、
ママはケーキを焼いて待っていてくれました。

彗星は、あまりに大きく、ムーミンや家族の力で
はどうしようもない。
戦争もまた同じだけど、戦争は、国を動かす立場のものなら避けることができる。

トーベヤンソンは、戦争のことを語りたいのではなく、そこに暮らす小さな生き物や美しい故郷のことに
ただただ目を向け続けているのだと思います。

そしてこの作品でも、
ムーミンママが子供を思う強くあたたかい気持ちと、
その行動の示し方に、
強く強く心をうたれました。